くじら山

売上

  • 2010年12月31日現在

    2010年累計 202乗務 5,605,765平均27,751)
    1乗務MAX 59,540(7月23日)
    メーターMAX 29,510(7月23日)

    12月 19乗務596,690(平均31,405)
    11月 19乗務606,805(平均31,937)
    10月 20乗務574,160(平均28,708)
    9月 17乗務 412,250(平均24,250)
    8月 16乗務 439,350(平均27,459)
    7月 8乗務 249,920(平均31,240)
    6月 10乗務 256,990(平均25,699)
    5月 19乗務 472,320(平均24,859)
    4月 22乗務 626,680(平均28,485)
    3月 22乗務 616,620(平均28,028)
    2月 11乗務 296,010(平均26,920)
    1月 19乗務 457,970(平均24,104)

    09年累計 229乗務 6,264,320(平均27,355)
    1乗務MAX 60,160(12月18日) 
    メーターMAX  28,790(10月17日)

    08年累計 226乗務 6,274,580(平均27,763)
    1乗務MAX 60,490(7月28日)
    メーターMAX 25,750(4月5日)

タクシー関連リンク

BBC

SPORTS

タクシー本 Feed

2010年3月18日 (木)

効率の悪い仕事

昨日ツイッターでニューヨーク在住のYSさんが下の記事をリンクしていたのだが、

http://www.nytimes.com/2010/03/17/opinion/17wed3.html?th&emc=th

Now comes evidence that thousands of unscrupulous cabbies have been cheating passengers — to the tune of $8 million over two years — by pushing a button that automatically doubled the fares.

ニューヨークのタクシードライバーが習慣的に「ぼったくり」をしている、というニュースなわけだが、そのぼったくりの手法というのが、

(市内で)郊外走行メーターを押す

ということなのである。

ニューヨークのタクシーは、市内を出て郊外に出る際には超過料金がかかるというのは聞いたことがあるが、「ダブルメーター(通常の倍料金)」というのはごっつい話である。

要するに、

ニューヨークのタクシードライバーは長距離を嫌う

と言われている。

一概には言えないが(時間帯や状況によっても変わってくるだろうが)、あれだけの狭い、需要の集中した地域を少ない車(約1万3千台)でカバーしているわけだから

自然と高度に効率化されている

ことになる。

適正量がとことん効率化されたら、タクシーというのは、

近距離の方が美味しい仕事

になるのである。ニューヨークがその好例であろう。

供給過剰の大阪で行政が近距離料金値上げを指示して、異常な長距離割引を(今のところ)放置しているのは面白い反例である。

それにしても郊外ダブルメーターはやりすぎやろと思い、

「(郊外に行きたい運転手もいるだろうから)超過料金制度なんて禁止したらいいじゃないですか?そうすれば結果的にぼったくりも減らすことができるでしょう」

と俺が意見すると、YSさんが、

「ブルックリンへ行くのだって乗車拒否する運転手がいるんですよ(通常料金なら乗車拒否が横行します)」

と、下の面白いエピソードをコメントで教えてくれた。

ちなみにマンハッタンのソーホーからブルックリンまでの距離は約10キロ、タクシー料金にして約20ドル(約2千円)、日本で走る運転手としては「効率的」な仕事に思えるが、イエローキャビーからしたら「非効率」な仕事になるのだろう。

“Gardner’s favorite cab story was about a cabby who picked up a wealthy lonely dowager about to embark on a world cruise.  When the lady learned her driver was a bachelor, she invited him to drive his hack into the hold of the ship and sail to Europe with her.  Upon arrival at Le Havre, they hauled the cab off the ship with the meter running, then drove to Paris, Nice, Monte Carlo, and back through France to the channel and over to London, then to Rome, Berlin, and the Scandinavian countries.  All the while the meter kept ticking.  After a two-month, whirlwind tour, the pair returned to New York, where the generous passenger paid a fare of $12,457. “Now, Irving,” she asked, “please take me to my home in Brooklyn.”  The hackie shouted, “Brooklyn?  Sorry, lady, you’ll have to get another cab.  Every time, I go to Brooklyn, I have to come back to Manhattan empty.”   

ニューヨークのタクシーに関する面白いエピソードを紹介しよう。
あるキャビー(タクシー運転手)が大金持ちの孤独な夫人を乗せたときの話である。
婦人はキャビーが独身であることを知ると、タクシーで港まで行くように指示して、タクシーごとヨーロッパへ向かうフェリーに乗せてしまった。
(フランスの)ル・アーブル港に着くと、メーターを回したまま、パリ、ニース、モンテカルロ、また戻って海を渡ると、ロンドン、ローマ、ベルリン、さらには北欧諸国までタクシーを使った豪快なドライブを続けた。
そして2ヶ月に渡るリッチなクルーズを終えて、ニューヨークに帰ってきた婦人は、そこまでのタクシー料金である1万2457ドル(約112万円)を顔色も変えずに平然と支払うと、
「さあ、アービン(運転手の名前)、今からブルックリンのわたしの自宅まで送っていただけるかしら?」
すると運転手は叫んだ。
「ブルックリン!悪いな、奥さん。出来れば他のタクシーを拾ってくれるかい?ブルックリンまで行ってしまうと、マンハッタンまで空車で帰ってこなくちゃならないんで効率が悪ぃんだよ」

2009年10月 7日 (水)

New York Hack

Now,I just finished to read the book "New York Hack" by Melissa Plaut.

It took me a while to go through all the contents of this book because, maybe, I'm a Japanese so I've just been too slow to read... and another reason I can think of is that

I could not skip any pages of this book as a cab driver myself.

She started driving as a cabbie when she was 29 years old, 2004, of course in New York, while I started driving when I was 29, 2003, in Osaka Japan.

Differences between us are only(?) that I'm a male driver,and I'm still behind the wheel (I believe she's not anymore).

After reading, I have to say

this is a tremendous book

not only for us taxi drivers, but any of who're struggling what to do in her/his life.

This book tells a lot about how's cabbie's life in New York, how to get a cab licence and, not concerning the revenue, how a college graduate American born "white" lady enjoyed this job.

Although she's been complaining abont the craziness of the job and always having searched anything else, I think most of fellows who read this book would agree that she had somehow been "enjoying" the adventure(as she says,cab driving is an adventure).

Before I met this book,

I had thought that driving cabs in New York is just too dangerous.

Although my dream is driving cabs all over the world, Yellow cab was kind of an exception. I need to be living before my dream.

But now, reading the book, I felt it's not as bad as I (or most of who don't know "real New York") imagined. And I feel excited imagining that I'm crusing in one of the yellow cabs.

I feel excited too when I see the map of Manhattan attached before chapter 1. I love to see any maps, but Manhattan is just special, so exciting.

Anyway talking about the book, it's too much to write here since I have tomorrow's (actually today) shift and have to send my children off nersery in the morning.

The words are so impressive for me in this book, and one of them which was kind of most was, she said (I now can't find the exact part written this, I'll find it later and quote properly).

I don't want to regret not doing something, I'd rather regret "doing" something.

Anyway, I would say now, I won't forget her name, Melissa Plaut, in my life if I quite driving.

Oct 6 Tue. Rain
Rainny index 3
Business condition index 40
Today's Sales \19,000 13 Ride

2009年9月17日 (木)

近距離 or 長距離?

「近距離乗車で運転手の態度が悪かった」

というコメントを先日いただいたが、これはネット上でもよく見る意見である。

実際運転手はみな近距離を嫌い、長距離乗車を歓迎するのか?

これについて今読んでいる本に適切な答え(意見?)があったので、メモしておこう。

本は「NEW YORK HACK(ハックはスラングでタクシードライバーの意)」、ニューヨークで運転手を経験したユダヤ系女性、メリッサ・プラウトさんの体験記である。

"Each cabbie seems to have a different opinion about whether short rides are better than long rides

(近距離乗車の方が長距離よりベターなのか、運転手はそれぞれ異なる意見を持っているわ)

For me,it depended on a number of variables such as time of day,traffic,level of business on the street,and destination.

(わたしにとっては・・・それはいくつかの要素に左右されると思う。時間帯とか交通状況、その日の景気、行き先・・・)

During normal hours when business is good,it ultimately came down to a difference of a few dollars, so it wasn't that big a deal.

(通常の時間帯で景気の良い時は、短距離でも長距離でも結局最終的に同じような売上に収まるねん。だから大した問題ではないんやけど)

But if it was late or business was slow,I preferred the longer rides since there was little chance of finding a bunch of short ones that added up to the same amount.

(でも遅い時間とか景気の悪い日はやっぱ少しでも長いのがええわぁ。短いのを積み重ねるにもチャンスが少ないやろ)"

これはなかなか真理をついている(なんで途中から関西弁になってるのや)。

何故俺がこんな長い文章を携帯で引用しているのか?(暇なんやろ)

要するに、

仕事が多ければ近距離乗車は歓迎なのである

これはアメリカだろうと、日本だろうと同じことである。

また上の本にあるが、ニューヨークでは基本的に市外乗車はイリーガル(違法)だそうだ。

効率が悪いので多くの運転手は嫌がるが、それでも利用者が求めて乗せるときは、通行料とは別に長距離超過料金みたいなものを請求するらしい。

これは日本語で言うところの「ぼったくり」で、交渉でふっかけられることが多いようだ。

要するに、ニューヨークのように車両台数に規制があり、仕事も多い場所では

あんまり遠いのは乗ってくれるな

と運転手は思っていると解釈していいだろう。

どことは言わないが、長距離の客に交渉でべらぼうに安い金額を提示している運転手がいる日本とはえらい違いである。

また駅に何時間も並んで、やっと先頭になったらほとんどの運転手は、

近距離なら乗ってくれるな

と祈ることになる。

これはどういうことかというと、何十台も並ぶ駅の先頭の運転手とは、その瞬間に唯一利用者と接することの出来る、その駅を代表する営業マンである。

その営業マンが、

タクシーに乗らないでくれ

と願うのである。

そして生活の足としてタクシーに乗車する大事な「顧客」をにらみつける。

需要は増えず

我々の収入は減り

運転手は嫌われる

だから

もっとたくさんの人に気持ち良く乗ってもらおうやないか

と俺は訴えるのだ。

最後にもう一つ、メリッサの言葉の引用

"...the greatest lesson I learned after only my first few months as a cabbie was to just take what you can get and not too upset about it.

(わたしが新人タクシードライバーとして学んだ最も大事なことは、平常心で目の前にある仕事をこなしていかなあかんゆうことねん)"

"just take what you can get(目の前にあるものを受け入れろ)"

タクシーで学ぶことのできる、人生の「レッスン」やね。

・・・それにしても今日はひでーなぁ

9月17日(木) 景気指数30 晴
現在売上 8710 5回 8.00時間 MAX 2710

17日最終売上 22,000 10回(2回X) 10.75時間 MAX 9,990

昨日は最後に大きいのが当たって救われた。

空車での帰り道にイノシシの群れを2回、道路上を走るタヌキを1匹目撃した。

子供を連れたイノシシはリアルで感動したなぁ。

2009年6月11日 (木)

幸せを運ぶタクシー

先日購入した今井泉さんの「幸せを運ぶタクシー」を読んだ。


今井さんと言えば、業界では有名な、

四つ葉のクローバーを配るドライバー

である。俺もテレビやネットで見て感心していた。

本はデザインも凝っていて紙も上質なものを使っているが、100ページ程度で字も大きいため、正直「ちょっと高い(1260円)かな・・・」と思いつつ買った。

実際1時間もあれば読みきれてしまうほどの本だが、そのボリュームとは裏腹に感動は大きかった。今井さんが我々運転手のイメージをどれだけ向上させているかと考えると、1260円など安いものだ(いちいち金額のことばっかりしつこいな)。

秋田市を少し調べると、人口は約32万人。

タクシー台数はちょっとわからないが(誰かわかったら教えてください)、タクシー会社は今井さんの所属する「タクシーセンターあい」を含め、17社(協会加盟業者)。1社20台平均として、推定340台とすると、

人口941名にタクシー1台

となる。あくまで推定だが、環境は悪くない。人口1000人に1台程度が、地方では理想的なタクシーのボリュームだと思っている。

また本を読んでいて面白いな、と感じたのは、今井さんの待機場所である「組合病院」、というところである。

この「組合病院」を調べると、

秋田の中心部からざっと5キロ程度離れている

5キロというのは、料金で大体2000円弱、タクシー的に理想的な距離である。しかもこの病院は今井さんの会社の車庫と、秋田駅をはさんで全く逆の位置にある。わざわざそこまで長い距離を回送しているのである。

幸せを運ぶだけでなく、タクシーの営業感覚も非常に優れた方だとわかる。

本の内容に関しては敢えて詳しく触れないが、一つ一番感動したのは16年前に亡くなられた奥さんがこの今井さんの活動を知ったら、

きっと喜んで一緒にクローバーを探してくれただろうなあ

というところである。最愛の奥さんは若くしてがんで突然亡くなられたらしいが、今井さんは自分の不幸を恨んだに違いない。そして苦しんで苦しんだ末に、この

人に幸せを与える

というライフワークに辿りついたのだろう。


四つ葉のクローバーが何故幸せと関係あるのか

子供のころはよくわからなかったが、今日この本を読みながら何となくわかった気がした。

四つ葉のクローバーはきっと生物学的には特別な意味を持たない、ただ葉っぱの数が違うだけのものだと思う。そして野原でぱっと見ても、全く目につかない。じっと目を凝らさないと見つからない。

幸せもきっと同じなんだろう。

幸せとは何も特別なものではなく誰のもとにも存在し、目を凝らして探したものだけが見つけることのできるものではないだろうか

6月10日(水) 景気指数40 雨 雨指数70
本日売上 22,110/14回(6回) 13.00時間(10台) MAX 2,630

今日はかなり雨が降った。雨の恩恵もあって、24時過ぎ6回の乗車。

遠方なしで、まあ作れた方やないかな。




2009年1月27日 (火)

あの日にドライブ

数日前駅で客を降ろしたら、他社のドライバーにとめられた。

「ねえ、ねえ、面白い本があるんやけど」

いい歳こいて「ねえ、ねえ」はないやろ。大体運転手の勧める本なんてくだらない批判ばかりの大衆誌かエロ漫画くらいのものである。

「なんの本すか?」

冷たく聞くと、

「元銀行員がタクシー運転手になったっていう話なんやけど・・・」

「(ほう・・・)面白そうやないすか」

するとその40にも60にも見える年齢不詳のおじさんは嬉しそうにトランクからハードカバーの本を取り出して来た。

タイトルは「あの日にドライブ」、著者は萩原浩さん

タクシー本は(タイトル著者くらいは)大体抑えてるつもりだったが、知らない

「これは・・・小説ですね(実話じゃないですね)」

「そうなんかな?ちょっと最後の結末がわからへんねん」

どうやら俺がいつも本ばかり読んでる噂を聞いて、解説してほしいようだ。

ノンフィクションでないのが少し不満だったが、タクシー本には変わりない。

タクシー運転手がある人妻客と情事を繰り返し、最後は二人で車ごと海に飛び込む、などという解説しようのない内容でないことを祈り、この本を借りてきたのだが・・・

なかなか面白かった

設定は主人公が元大手都市銀行員で、出世レースと上司の横暴にたえられず銀行をやめて、再就職先もなくタクシー運転手になる、というもの。

タクシー業界のシステム、雰囲気、運転手の心理などかなりリアルに近い。もちろん小説なので大げさな部分はあるが、著者の取材力は大したものである。

前半は主人公が元銀行員であるプライドを捨てきれず、今どきあり得ないような悪条件の中小タクシー業者でノルマ達成に苦しんでいる(ノルマ5万、足切り2万、足切り以下は給料ゼロ)。

43歳の妻子持ち、妻とはなんとなくうまくいかず、中学生の娘と小学生の子供にはバカにされる。

なんで自分の人生はこんな(タクシー運転手なんか)になってしまったんだろう・・・

主人公はどこで人生の道の選択を間違ったのか思い悩み、学生時代の下宿に行ってみたり、学生時代付き合っていた女性をストーキングしたり、その頃憧れていた出版社を訪れたりする。

そして人生のそれぞれの曲がり角でもし自分が違う道を選んでいたら・・・と今と違う人生を夢想する。

またタクシー運転手をバカにしやがって・・・(つまらねぇ)

と思いつつ読んでいたのだが、そこから後半になると少しずつ変わってくる。

ちょっとしたことから仕事のコツを掴み始め、営収も上がっていき、営業所でトップクラスになる。

営業部長に好成績をおだてられ、

”嬉しかったのだ・・・銀行時代の媚びへつらいは、自分自身にではなく組織内での地位(支店課長)に対してのもの・・・いまのそれは自分ひとりの力で手に入れたものだ。”

そしてだんだんとこの仕事の面白さに引き込まれて行く。

過去を振り返ってばかりいる自分と決別し、今の平凡な家族の大切さや、(バカにしていた)同僚の暖かさに気付く。

”・・・いまはこれが俺の仕事だ。声に出して言える職業。恥じるところは何ひとつない。

うーん・・・ええ話やないか

俺もタクシー運転手になりたくて、この世界に入ってきたが、現実に直面したときにはかなり動揺した。

大阪の町を20時間近くも流しに流し、営収が2万にも届かなかったり、ヤクザに振り回された挙句に乗り逃げされたりした新人の頃は、

こんなはずやなかった、やめてやる・・・

といつも思っていた。

しかし今はこの仕事が他のどんな仕事より楽しいと感じ(ここ数回引きが悪くてまた嫌になってきたが)、胸を張って自分の仕事を人に言える。

この本を読んで思ったのは、

みんな同じなんやないか

ということである。口ではいろんなことを言うが、前の仕事をしていたときもみな心のどこかにタクシーがあった。そして、苦しみながらもこの世界に居場所を見つけている。

その場所は人に与えられたものではなく、自分の力で掴んだ場所(少なくとも自分ではそう思っている)。ささやかな場所だがなかなか居心地は良い。

貸してくれた運転手はこの本に蛍光ペンでいくつも線をひいてあった。

「なかなか面白かったですよ」

今日本を返すと、おじさんすごく嬉しそうだった。

「そうやろ、それで結末なんやけど・・・」

結末は主人公が、駅で偶然かつての銀行時代の上司を乗せて、それを機会に千葉まで連れて行き仕返しする、というものだった。

「ああ・・・、あれはなくても良かったんやないすか」

2009年1月18日 (日)

文藝春秋のタクシーコラム

先日三宮に用事があって、紀伊国屋で久々に文藝春秋を購入した。なんとなくこんなに重い(物理的にも内容的にも)本を買ったのはタクシーに関するコラムが掲載されていたからである。

著者はノンフィクション作家の矢貫隆さん、コラムの冒頭は一人称のタクシー運転手が東京の霞が関に車を走らせる場面から始まる。

運転手目線で書いてるんかな…

どちらにしても引き込まれる入りだな、と感心しながら読み進めると、なんとこの著者の矢貫さん、本当に東京で、タクシー運転手としてタクシーに乗っているのである。

これには驚いた。運転手の気持ちを知るためにタクシーに乗った東京日本交通の川鍋社長もすごいが、この矢貫さんもコラムを書くためにタクシーに乗ってしまうのだからすごい。

読めば矢貫さんは京都での乗務体験記を過去二回この文藝春秋に掲載していて、当コラムはシリーズ第3段の東京版ということになる。

東京では7月の地理試験を見事一発で合格し、昨年の9月から10月半ばまで一か月半乗務されている。

あまり知られていないが東京や大阪でタクシー運転手として乗務する場合、二種免許に加えてこの地理試験があって、これに合格しないと道に出ることはできない。俺の乗務しているような地方ではこういう制度はないが(俺は大阪で運転手を始めたため、地理試験は経験している)、

この地理試験はそんなに簡単なものではない(このコラムによると東京における05年度の合格率は35.9%)

何度受験してもこれに合格できずに運転手を諦める人も、少ないが一応いる。都市では一応参入規制は今でもあるということになる。

このような運転手になるハードルをより高めるのは運転手の質を高める有効な手段だが、それはまたの機会に。

注目すべきは、文藝春秋のような質の高い雑誌にコラムを書くような矢貫さん、京都でも乗務経験があり、この難関の地理試験も当たり前のように一発合格したこの矢貫さんも

東京の街での実際の乗務になったら右も左もわからなくなったようだ(ストレスで一年以上やめていた煙草を吸い始めたらしい・・・)

一般の人がバカにしている我々タクシー運転手という仕事がいかに高度な技術を要するのか。リストラや派遣切りで困っている人がみんなタクシーに乗れば失業率が下がる、なんて意図で規制緩和を唱えて識者気取りしてる連中は一度タクシーに乗ってみたら良い。

例えよく知ってる土地であっても、ある場所でいきなり止められて、ある場所まで最短距離、最短時間を瞬時に割り出し、すぐに動き出すことができるだろうか?

コンピューター(カーナビ)でも信号や渋滞の計算までしない。運転手はそれをする。

コラムはタクシーが多すぎるから運転手が苦しんでいる。という内容で収入面のことが主に書かれているので、運転手の質を高めるべきという俺の主張とはややずれもあるのだが…

コラム内には有用なデータも多く盛り込まれている。いくつか引用、列挙させていただく

・著者の東京乗務体験30乗務で一万円を超える乗車が14回

・タクシーの輸送人員は21億人台(どーやって調べるの?)

・東京の法人タクシーは06年で317社、約3万2千台

・(著者が乗務した会社の)平均実車率43%

・隔勤一乗務平均50,604(06年)

・タクシー事故は03年に2万7千件突破、事故の75.7%は空車時に発生

・著者の9月16日から10月15日までの一ヶ月の売上:ナイト21乗務(基本22乗務)652,340(一乗務平均31,064)。額面給料391,404

やっぱ関東は歩合率高いな(60%)、というのはいいとして・・・コラム内に書かれている順番に列挙したのでちょっと流れが悪く失礼。

最後に最も注目すべき面白いデータを矢貫さんが示している。

タクシー運転手に新たになる人は年間6000~7000人もいるのに、規制緩和後も全国のタクシー運転手の数は36万人程度(東京で8万人強)で、ほとんど増えていない

上のデータが何を示すのか。これは現場で働いていればデータを聞かずともわかっていることであった。

タクシー運転手は増えていない。そして今後も増えない。長期的に減少する

要するに政府が雇用創出目的で行ったタクシーの規制緩和は機能していないのである。車が増えることによって、収入が下がる。秩序は乱れる。モチベーションは下がる。

若くて他に働き口のある優秀な人材はタクシー業界から離れていく。残るのは他に行き場のない年配運転手、または年金をもらって小遣いかせぎしている老人運転手だけ。

特に都会では常に道を知らない新人運転手がうようよいるし、年金ドライバーはマイペースであまり働かない、ということは

いくらタクシーが増えても利用者の利便性は全くあがらない

それどころか、運転手が増えて業界の効率が悪いため、

多くの地域でタクシー料金が上がっている

タクシーを減らして運転手の質を高めるべきだ、という俺の主張がわかってもらえるだろうか。

しかし矢貫さん、面白いコラムでした。俺も短期でいいから、東京で乗りたいなぁ・・・ちょっとした夢になりつつある。

2008年6月15日 (日)

タクシー王子、東京を往く。

6月14日(土) 景気指数30rain 晴 気温15度

今日も晴、梅雨なのに晴が続いてる。どうせなら早く雨続けて7月後半(俺の誕生日頃)は梅雨明けて欲しいのに。

17時過ぎから急に気温が下がった。ワイシャツ1枚で外にいたら少し寒いくらい。

仕事の方はひどい土曜日だった。昨日(金曜)は良かったのだが、

「良い金曜の後の土曜は悪い」

という法則を発見した。

タクシー王子、東京を往く。―日本交通・三代目若社長「新人ドライバー日誌」著者 川鍋一朗(東京日本交通社長)


東京日本交通の社長、川鍋一朗氏の著書を読み終えた。今日は暇だったので、読み終えた後もう一通り、2回通り読んでしまった。

まず同じ30代、現役運転手として、この本の感想を言わせてもらおう。

しびれた…

この一言やね。川鍋一朗という人物、こころから素晴らしい、と思う。 何が素晴らしいか、というと、「人柄」だろう。自分の弱い部分もこの著書の中でストレートに気持ち良く語っている。自分の弱さを知る人間は強いし、人を引きつける。最後の部分で「タクシーは人である」とまとめているが、まさに人に始まり人に終わるビジネス、タクシー会社の社長として彼はふさわしい。

そして彼の強みはその若さはもちろんだが、それに加えた「行動力」であろう。今までに彼の行った業務改革はもちろんだが、日本を代表するタクシー会社の社長として、現場を知るために車に乗ってしまうことはまさに「言うは易し行うは難し」であろう。

そしてその行動力を活かした「タクシー乗務体験記」はよくあるタクシー本とはひと味もふた味も違う、味のある面白い内容だった。 彼の人柄が本の中にありれているし、ユーモアのセンスも満天である。(P194のガスが切れそうになっている部分で少しでも多く見えるようにメーターを左から覗くところは傑作だった)

この本の面白さのポイントは、彼は日本交通という大会社の社長として、少なくとも千万単位の収入を得てはいるだろうが(彼の性格的にも役員報酬は押さえ気味にしてあるとは思うが)、このタクシー乗務を心から楽しんでいる点である。

冒頭の地理学習から始まり、初めてチップをもらう場面、学んだ地理と実際の営業が重なっていく醍醐味、いろんなお客さんとの会話、長距離(ロング)のお客さんに遭遇したときに心の中でガッツポーズしながら、笑顔を隠してポーカーフェイスを作る場面など、実際タクシーに乗っているものなら誰もが、

「わかる!わかる!」

の連続である。

この本を読めば、彼が子供のように楽しんでいる姿が手に取るようにわかる。

彼のようにある程度収入のある人でも、長距離乗車というのは興奮するし、数百円のチップは嬉しいのである。

要するにタクシーという仕事は金ではなく、言葉は悪いがゲームなのである。いい大人になって、ゲームをしながら素晴らしい人間同士の出会いがあり、お金ももらえる。この喜び、楽しさは実際にタクシーの運転席に座らなければわからない。そういうことを川鍋氏は本の中で非常にうまく表現している。

いろいろ褒め殺しのようになっているので、ちょっとした「指摘」もしておこう。

川鍋氏が「新人ドライバー」として乗務した期間は一ヶ月13乗務、その結果は

売上合計 83万5,710円(1日平均64,285円)
乗車427回 4,052K

この売上だと日本交通での給料は月約49万円になるらしい(税抜き金額の62%、賞与含む)。各種控除やボーナスにまわる分なども考慮しても、手取り収入で月30万は越えるであろう。

現役のドライバーとして誤解のないように言わせてもらえば、新人としてタクシーに乗って、上のような売上を上げることは100%不可能と言って良いだろう。

川鍋氏は今回の乗務にあたって「一切インチキなし、仕込みなし」と書いているが、それも本当であると思う。

では何故上のような(新人として)超人的な売上を上げたのか、現役ドライバーの推測を含め種あかししよう。

�彼はいきなりムセンをとっていた。

これは本の中にも書いてあるが、新人としてタクシー会社に入っても通常数ヶ月はムセンはもらえない。ムセンの仕事というのは一般の仕事よりも金額も高いことが多く、乗務2日目からムセンを取っていたことは社長の特権と言わざるを得ない。

�乗り場に入りまくっていた。

日本交通には六本木ヒルズを始めとして、都内にいくつかの専用乗り場があるらしいが、川鍋氏はその乗り場をうまく利用して売上を作っていた。乗り場はやはりいい仕事が多い。

しかし、これも新人としてこのような乗り場に入っていく事は難しい、と言って良いだろう。乗り場にはどこにも縄張り組織のようなものがあって、新人の入れるようなところではない。特に東京日本交通の場合、「黒タク」制度で差別化しているため、黄色いタクシーで乗り場に入っていく奴などいないのではないだろうか。これも社長の特権と言える。

�営業コンサルティングを受けていた。

彼はインチキはしていないが、優秀な元ドライバー(恐らく大山運転手)から都内で効率的な営業をするための詳細な指南を受けていたものと思われる。

俺は関西に住んでいるので東京の土地勘はほとんどないが、この本を読みながら東京の地図を引っ張り出していろいろ確認してみた。

彼の営業していた区域は主に山の手内の南西部、港区周辺である。

この辺をよく見ると面白い。彼はよく西麻布や六本木周辺で流していたようだが、よく見るとこの全国的にも有名な六本木と渋谷は六本木通りで結ばれているものの、ここに電車が通っていない。タクシー需要が多いわけである。

また東京の交通は皇居を中心として放射状に展開している。これをこの六本木周辺に当てはめると、おおざっぱに東から西に動脈が流れていることになるが、南北を結ぶ電車は少ない。本の中に外苑西通り、外苑東通り(または明治通り)というのが頻繁に登場するが、これはまさにその電車移動に不便な流れを補っている南北の道、タクシーロードと言える。

上のようなことは事後的に地図で確認すればわかるものの、素人にわかることではない。また電車が通っていないからと言ってタクシー需要が多いとも限らない。これらの情報を川鍋氏はかなり詳細にコンサルティングを受けていたものと思われる。

逆に言えば、この彼の本を参考にして同じように動けば東京である程度うまく営業できることになる。

ちなみにこの「タクシー営業コンサルティング」はビジネスになると思う。

以上、彼が新人として稼いだ売上の裏には秘密もあるだろうが、全てはタクシードライバーの収入がそれほど悪くないですよ、ということをアピールするという目的のもとにあると思われる。そして、

より多くの人たちに誇り高きタクシードライバーになってもらおう。

という彼の思いには心から賛同する。

この本を読めば間違いなく多くの人がタクシーに乗りたくなるだろう。(俺も東京で乗りたい・・・)

私も彼の(ドライバーリクルート)キャンペーンに協力しよう。

私のサイトでこの本を100冊売る!

100冊売ったら川鍋さん、木挽町デニーズの「チキングリル・ガーリック醤油風味」おごってください!

そしてデニーズで川鍋氏に質問する

�社長業と運転手とどっちが楽しいですか?

�日交タクシー、またはタクシー業界今後30年の戦略とは?

本日売上 17,800
最高メーター額 4,630
乗車11回 14名(喫煙1名)
乗務 8.75時間
走行 113K

直近5乗務平均 29,410





2008年4月19日 (土)

若宮 健

4月18日(金) 景気指数60sun くもりのち雨

昼間は歯医者で2時間ほど抜けたこともあって、伸びず。

夜には一時期雨も強く降ってそこそこ動いた。

最後の乗車が25時42分(終電25時0分)、その後も数人並んでいたので50分ごろまでは駅に客の並んでいる状態だった。

金曜日とは言え、最近にしては珍しい。



タクシードライバーほど素敵な商売はない
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E3%81%BB%E3%81%A9%E7%B4%A0%E6%95%B5%E3%81%AA%E5%95%86%E5%A3%B2%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%84-%E8%8B%A5%E5%AE%AE-%E5%81%A5/dp/4753916065/ref=sr_1_8?ie=UTF8&s=books&qid=1208542011&sr=1-8
この本は著者が若宮健さんという、本物のタクシードライバー、タイトルにひかれて(廃盤で在庫がないので)中古で2千円も出して買ってしまった(定価1,400円)。

しかしこれは古い本で、97年2月の発行である。この当時若宮さんが50代後半のようだから今は60代も後半になられているのかな。

http://www.wakamiyaken.jp/

HPも持っておられる。運転手はもうやっていないようで、残念だが、年齢的なこともあるのだろう。


本の内容だが、主な部分は若宮さんの同僚や、その他特徴ある運転手さん(主に東京近郊)に取材して、若宮さんが思うところを記述している、というものである。

その中で、

�タクシー運転手は鳥のように自由な仕事
�最近の若者は目が死んでる。ろくなのがいない
�日本人の(拝金主義的)価値観は間違っている


などという若宮さんの思想が繰り返し書かれている。

残念なのはその先がない。

タクシーは自由な仕事。だからどうするのか、それだけでいいのか。

若者が腐ってる。ではどのようにして若者を活気付けるのか。

日本人はおかしい。それでは、どのようにしてこの国をよくしていけば良いのか。

そのためにタクシードライバーとして何が出来るのか。






本日売上 31,040
最高メーター額 3,030
乗車21回 31名(喫煙1名)
乗務 11.50時間
走行 178K

乗務1時間あたり
売上 2,699
乗車 1.83回
走行 15.5K

乗車1回あたり 
売上 1,478

新ブログ11年4月~

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